イノベーションについて

今更感がないわけでもないです。イノベーションという言葉がどうも(特にネット上では)「新しいテクノロジーを前面」に押し出しているような気がするので参考までに書いておきます。

イノベーション – Wikipedia

イノベーション(innovation)とは、物事の「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。新しい技術の発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。

とあるように、新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことです。今の時代ならIT技術も当然深く関与してきますが、技術は「前面」にあるのではなく、表層の出来事を支える仕組みです。

例えば、ソニーのウォークマン(これもかなりのイノベーション:音楽を持ち歩くスタイルの提供) をipodが駆逐したのはアップルストアの存在と一曲ごとにDL販売するという一連の「ビジネスモデルのイノベーション」なのです。表層に出てくるデバイスはdesign的にもおしゃれなアップルだし、BB化されたインフラや課金システムその他沢山のテクノロジーがこのビジネスモデルを支えている訳です。

ついでに書くと、レンタルCDショップは存在価値が相対的に下がってしまいました(CDを貸し出すというのも実はイノベーション)このように、イノベーションは「社会的に大きな変化を起こす」事になります。言い換えれば私たちの「ライフスタイルを大きく変えてしまう」パワフルなビジネスモデルといっても良いでしょう。ではビジネスモデルとして流通業をの変遷を例示します。

現在は長期凋落傾向ですが、その昔、百貨店(デパート)というビジネスモデルはとても斬新でした。まさに百貨の品揃えとフルサービス(個別に接客)のお店です。それまでの専門店は困ります。しかしその後GMS(スーパーマーケット)が台頭してきます。価格を安く、セルフサービス、更にはCVS(コンビニ)や100均など「提供価値の違い」で特色を出してきます。

この流通業の変遷を大雑把に眺めると以下のような赤字の部分にイノベーションがあります。


  • 専門、フルサービス業:直営数店舗、店舗小
  • 豊富な商品、フルサービス業:直営数十店舗、店舗大
  • 豊富で安いセルフサービス業:直営舗数は多い、店舗大
  • 売れ筋商品、セルフサービス業:FC 、直営、店舗数はかなり多い、店舗小、CVS便利さが商品価値、100均価格が商品価値

もちろんこの変遷には「背面」でマネジメントテクノロジーが大きく関係しています。同時に時代背景や企業環境の変化が関連します、例えば、交通網や自動車の普及も重要です。これらの環境がないと物流が機能しません。更に細かく見れば表層に見える「店舗でのオペレーション」以外にそれが成立するビジネス環境にも沢山のイノベベーションが起きていることに気が付きます。

この事は飲食業界、アパレル業界、建築業界、・・・どんな業界にも起きています。

イノベーションは別の見方をすれば「既存のビジネス(モデル)を無価値化する、あるいは相対的に価値を下げる」といえます。

このような観点で自社のイノベーションを考察するのが戦略立案の肝所となるでしょう。

ポイント

  • 私たちのライフスタイルに変化をもたらすか?
  • 既存のビジネスモデルを無価値出来るか?

ではでは。

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1 Response » to “イノベーションについて”

  1. […] て牽引してきたかと思います。(こちらにも少々書いているので参照して下さい「イノベーションについて」)しかしながら、今日のインターネット環境(もちろんITそのものがイノベー […]

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