私がコンサルタントとして独立して間もない頃(20年ほど前)の体験を書いておきます。似たようなお仕事をされてる方には少し参考になるかも知れません。テーマは社員の意識改革、総勢で50名程度の社員研修を実施することになりました。費用は2泊3日で200万円、ワークショップ形式です。セミナー形式は比較的楽ですが、ワークショップだと一人では少々ヘビーなので仲間2人にアシスタントとして手伝ってもらうことにしました。教育研修がテーマの場合、他のテーマ(戦略立案・管理システム構築・・・)と違い、コンサルタントというよりトレーナーという雰囲気になり、少々役柄が変わります。

【準備段階】

①研修プランの作成

3日間のオリジナル研修、それなりに流れを作る必要があります。綿密に打ち合わせをしながらカリキュラムを設計します。随所にエンカウンターの要素を取り入れたり、個別に対応するときはNLPの要素を取り入れながら、1日目・2日目・3日目のバランスとフィニッシュに向けて各々の役割を明確にします。2泊3日で参加者の意識にシフトが起きるように設計するの訳ですから、この準備にかなりの工数を使います。「参加者全員がコミット」できるように配慮します。休憩時間の使い方や私とアシスタントの振る舞い等も綿密に想定しておきます。トレーナーはコーチであり、カウンセラーでもあることをお互い確認しておきます。

②会場の大きさや照明、出入口など施設の環境を調べてから、トレーナーとしての立ち位置、アシスタントの配置場所などを決定します。

③当日使う、ツールや小物/備品を準備します。(実施内容に従い、ポーカーのチップや貯金箱など普段あまり使わないものも準備しました)

ここまでは事前作業なので「こちらの都合」で企画する事ができます。しかし、当日の出来事は「参加者の都合」で実施されます。

そして、思いもよらぬ出来事が起きてしまったのです。この体験は、トレーナーである私にとても有意義な体験だった事は間違いありません。新米(5年目)コンサルトが出会った最初の未知との遭遇です。この出来事は、その後、今日に到るまでの「私の仕事感」を決定してしまったと言っても過言ではありません。それほどまでに素晴らしい出来事でした。

【当日起きた素晴らしい出来事】

●白旗を上げる

スタートは定形の諸注意やお願い事項などの説明のあと、軽くアイスブレーキングするような感じです。そして、初日の夕方4時頃にある一定の「期待レベル」まで「場を創り上げる」必要がありました。しかし、参加者のエネルギーが硬い感じで、参加態度も今ひとつピリっとしてない感じがヒシヒシと伝わるため、10分間の休憩を取ることにしました。というより、40代50代の男性社員の冷ややかな態度、若造コンサルタント(私)を見る目が明らかに「閉じている」ので、「これはマズイ」と思ったのです。

そして、アシスタントの二人に別室で次のように告げました「再開したら、ある宣言をするから、その後のことは白紙で対応してくれ」と。もちろん時間をかけて準備してきた内容は無視です。

再開後、私は、次のように宣言をしました。

「これまでの数時間、皆様とご一緒できたことに感謝します。今から、正直に私の印象をお伝えします。私の技量不足のために、これ以上続けても効果が薄いかも知れないと感じています。私達3人は若造ですが、全力で対応しています。可能ならば最高で最大の成果を皆様と共に作りたいと考えています。これからの一時間、あと二日間をどの様に過ごすか 皆様でお考えください。結論については何も言わずに従います」

と、ある意味「白旗」を上げたわけです。

●女性事務員の発言

一時間が経過し、再開です。重苦しい雰囲気のまま私は正面の一段高いところに上がりました。そして、全体を見渡した後、

「では、これから2日間どの様に過ごすか教えていただけますか?」とだけ伝えました。この後、ものすごい長く感じる「沈黙の時間」です。誰も発言する人はいません。服が擦れる音が大きな音に感じるくらいの静けさでした。壇上で私は唇が乾いていくのを自覚しながら「きっと誰かが発言するはず」だと思い 無言で立っていました。10分ぐらい経過したのでしょうか?

「ハイ!」と手を上げてくれた人がいました。参加者の中で最上位の役職者である常務でした。立ち上がり、そして次のように言いました。

「皆で話し合ったんだけど、どうしていいか分からないんです。個人的には続けて頂きたいんだけど。。。みんなこういうのに慣れてなくて。。。」

私は「では続けましょうか?」と言って、また沈黙していました。「時が止まってるのではないか?と思うほどの長く感じる時間」でした。

そして、決定的な発言が30代の事務員さんからあったのです。

彼女「ハイ」、私「どうぞ」。。

彼女

「私は先生(私)に言いたいわけではありません、ここにいる全員に言いたいです」

「会社がみんなの為に貴重な時間とお金を使ってこんな素晴らしい機会を提供してくれてるのに。。。」

「先輩たちはさっきの一時間の間も、真剣に話さないし、やる気ないなら帰ればいいじゃないですか!!。。。」

「でも私は一人でも、最後までこの研修に参加したいです。午前中の話で私はここで変わらなきゃ後悔するって思えたんです。。。」

「私は、最近離婚して、息子をおばあちゃんに預かってもらいながら仕事してます。だから、もっと勉強したいし、息子の自慢のお母さんになりたいんです。うちの会社は好きです。だから、もっといい会社になって欲しいです。。。」

「でも、私は事務だし、営業とかしてないから、どうしていいかわからないんです。。。」

「だから、今日も精一杯勉強したいんです。。。」

「・・・・」(泣き崩れる)

次の瞬間アシスタントの2人から静かな拍手がありました。彼女のshareがあまりにも正直で素直だったためか、会場は全員泣きながら拍手をしてました。私は壇上で無言のまま涙し、拍手を聞いていました。そして、落ち着いた頃、

「〇〇さん(彼女の名前)、本当にありがとうございました。私達は最後まで続けます。どうかお付き合い下さい。。。」

その後はもちろん全員がフル参加でパーフェクトなワークショップでした。準備してきたプランはアドリブで調整しました。

たった一人の勇気ある正直な発言が「場を一気に融解させ、個人から全体へ大きくエネルギーが動いた瞬間に立ち会えた事」はとてもラッキーでした。コンサルタントであれトレーナーであれ、場に融け込まなければならないと今も強く考えています。

相手の内側からサポートできる。現場から考察し、実践できる企画に落としこむ。等、基本的には「ライブ」で対応する事が最も大切なのです。

机上の空論より、実践できる次善の策!

最高最大の成果を!(BESTMAX)

ではでは、

Enjoy your life!!

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